相続した実家の老朽化が進み、解体を考えていても、
- 解体費用には何が含まれるのか
- 家財や庭木の撤去にも費用がかかるのか
- 自治体の補助金を利用できるのか
- 補助金の申請と業者との契約はどちらが先か
- 解体せず、そのまま売却できないのか
と迷う方も多いでしょう。
空き家の解体費用は、建物の大きさや構造だけでは決まりません。
道路の幅、隣家との距離、家財、庭木や物置、アスベスト、地中埋設物、解体後の整地などによって総額が変わります。
また、自治体の解体補助制度は全国共通ではありません。
建物の状態、道路や近隣住宅への影響、申請時期、施工業者、所有関係、相続人の同意、予算など、自治体ごとに条件が異なります。
そのため、解体を考えたら、次の順番で進めます。
- 現状のまま売却・買取できる可能性を確認する
- 自治体へ補助制度と手続きの順番を確認する
- 解体業者から見積もりを取り、工事範囲と追加費用を比較する
この記事で分かること
- 解体費用に含まれる主な項目
- 解体費用が変わる理由
- 見積書で確認する項目
- アスベスト事前調査の基本
- 自治体の解体補助制度の考え方
- 補助制度を確認するタイミング
- 解体前に売却や買取も比較する理由
- 見積もり依頼前に整理すること

空き家相談では、「古い家だから補助金を使える」と考えている方もいました。実際には、建物の状態だけでなく、道路や近隣住宅への影響などを確認する制度もあります。
空き家を解体する前に確認する3つのこと
解体業者へ依頼する前に、次の3点を確認します。
現状のまま売却できる可能性
解体してからでは、建物付きで売る選択肢へ戻れません。
解体を決める前に、不動産会社へ現状のまま取り扱えるか確認しましょう。
自治体の補助制度
自治体によっては、老朽化した空き家などの除却費用を補助する制度があります。
ただし、建物が古いという理由だけで利用できるとは限りません。
解体業者と契約したり工事へ着手したりする前に、自治体へ次を確認します。
- 補助制度が設けられているか
- 今年度も申請を受け付けているか
- 対象となる可能性がある建物か
- 現地調査や危険度判定が行われるか
- いつから契約・着工できるか
- 施工業者に地域や許可などの条件があるか
- 相続人や共有者の同意が必要か
名義・相続人・家財
土地と建物の名義が異なる場合や、相続人・共有者が複数いる場合があります。
一人の判断で解体を進めず、所有関係と必要な同意を確認してください。
また、家財を処分する前に、権利証、登記識別情報、契約書、通帳、保険証券、写真などを確保します。
土地や建物の名義、相続登記を確認したい場合は、次の記事で整理しています。

空き家の解体費用に含まれるもの
解体費用は、建物を壊す費用だけではありません。
見積書では、どの作業が総額に含まれているかを確認します。
建物本体の解体費
家屋本体を解体する費用です。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造、延べ床面積、建物の状態によって作業内容が変わります。
一般に頑丈な構造では、重機、作業日数、廃材処分などが増える場合があります。
ただし、木造でも重機が入れない、隣家との距離が近い、手作業が多いといった条件によって費用が高くなることがあります。
廃材処分・足場・養生・整地費
解体工事には、次のような費用が関係します。
- 足場の設置
- 防音・防じん用の養生
- 木材、瓦、コンクリートなどの分別
- 廃材の運搬と処分
- 解体後の整地
- 重機や車両の回送
- 必要な届出や書類作成
見積書に「解体工事一式」とだけ書かれている場合は、具体的な内訳を確認しましょう。
家財・庭木・物置などの撤去費
建物以外にも、次の撤去費がかかることがあります。
- 家具、布団、衣類などの残置物
- 家電
- 仏壇
- 物置
- カーポート
- ブロック塀
- 門扉
- 庭木、庭石
- 浄化槽
- 井戸
- 古い基礎
家財を所有者側で処分する場合と、解体業者へ依頼する場合では、費用や手間が異なります。
見積もり時に、どこまで片付ければよいか、解体業者がどこまで対応するかを確認してください。

解体の見積額だけを見て、家財、庭木、物置、塀が別料金だったことに後から気づく場合があります。現地調査では、撤去する物を一つずつ確認しましょう。
解体前の家財整理については、次の記事で詳しく整理しています。

アスベスト事前調査と必要な処理費
建築物の解体工事では、アスベストを含む建材が使われているか事前調査が必要です。
調査は、設計図書などの書面と現地の目視を基本に行います。必要に応じて分析調査が行われる場合もあります。
2023年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事では、原則として建築物石綿含有建材調査者など、一定の資格を持つ者による事前調査が必要です。
建築物の解体部分の床面積の合計が80㎡以上の場合は、事前調査結果を行政へ報告する必要があります。
ただし、80㎡未満なら事前調査が不要という意味ではありません。
事前調査そのものと、一定規模以上の工事に必要な行政への結果報告は分けて確認してください。
アスベスト含有建材が確認された場合は、建材の種類や使用場所に応じた飛散防止措置や除去作業が必要となり、追加費用がかかる可能性があります。
見積書では次を確認してください。
- 事前調査費が含まれるか
- 誰が調査するか
- 分析調査が必要な場合の費用
- アスベストが見つかった場合の追加費用
- 行政への報告や届出を誰が行うか
詳しい制度は、環境省の「石綿事前調査結果の報告について」と、厚生労働省の「建築物石綿含有建材調査者」で確認できます。
解体費用が変わる主な要因
建物の構造と大きさ
延べ床面積が大きいほど、解体、分別、運搬、廃棄物処理の量が増えます。
構造だけで金額を決めず、現地調査を受けて見積もりを取りましょう。
道路幅と重機の搬入
道路が狭い、敷地までの通路が細い、段差があるなどの条件では、大型重機やトラックを使えない場合があります。
小型重機や手作業が増えると、工期や人件費が増える可能性があります。
隣家との距離
住宅が近接している場合は、騒音、振動、粉じん、部材飛散への対策が重要です。
養生を増やす、手作業を多くする、近隣建物の事前確認を行うなどにより、費用が変わる場合があります。
家財や付帯物
建物内の家財、外構、庭木、庭石、物置などが多いほど、撤去と処分の費用が増える可能性があります。
見積もり前に、処分する物と残す物を分けてください。
地中埋設物・浄化槽・井戸
解体後に、古い基礎、浄化槽、井戸、配管、廃材などが地中から見つかる場合があります。
着工前にすべて確認できないこともあるため、地中埋設物が見つかった場合の連絡方法と追加費用の決め方を確認しておきましょう。
解体見積書で確認する項目
複数の見積書を比べるときは、総額だけで判断しません。
工事範囲
次の範囲が含まれるか確認します。
- 建物本体
- 基礎
- 物置
- カーポート
- ブロック塀
- 門扉
- 庭木、庭石
- 浄化槽、井戸
- 家財
- 整地
残す物がある場合は、見積書や図面へ明記してもらいましょう。
含まれる費用と別料金
見積書には次の費用が含まれるか確認します。
- 足場・養生
- 廃材処分
- 重機回送
- アスベスト事前調査
- 各種届出
- 近隣へのあいさつ
- 整地
- 消費税
追加費用が発生する条件
追加費用が発生する可能性がある項目を、契約前に確認します。
- 地中埋設物
- アスベスト含有建材
- 想定以上の残置物
- 基礎や構造の違い
- 井戸や浄化槽
- 工事中に判明した危険箇所
追加工事を行う前に、所有者へ連絡し、金額の了承を取る契約になっているか確認してください。

地中埋設物など、工事を始めなければ分からないものもあります。見つかったときに誰へ連絡し、いくら以上なら工事を止めて確認するのかまで決めておくと安心です。
アスベスト調査の扱い
「調査費込み」と書かれていても、書面・目視調査だけなのか、分析調査まで含むのかによって異なります。
調査結果の書面を受け取れるか、含有が判明した場合に再見積もりとなるかを確認しましょう。
整地と廃棄物処理
「整地」の状態は業者によって異なる場合があります。
砕石を敷くのか、土をならすだけなのか、地中の基礎まで撤去するのかを確認してください。
廃棄物については、適切な分別、運搬、処分を行う業者かも確認します。
近隣対応と工期
次を確認します。
- 工事期間
- 作業時間
- 近隣へのあいさつ
- 苦情が入った場合の連絡先
- 道路使用や車両の駐車
- 工事中の写真
- 完了確認の方法
空き家の解体補助制度とは
補助制度は自治体ごとに異なる
空き家の解体補助制度は、全国共通の制度ではありません。
制度の有無、名称、対象建物、補助率、上限額、受付期間、必要書類は自治体によって異なります。
同じ都道府県内でも、市区町村によって制度がない場合や、条件が異なる場合があります。
国の空き家対策支援は、主に市区町村が行う除却や活用などを支援する仕組みです。所有者が国へ直接申請すれば、全国一律の補助金を受けられるという制度ではありません。詳しくは国土交通省の空家法関連情報を確認してください。
古いだけで対象になるとは限らない
築年数が古い、雨漏りしている、外壁が傷んでいるという理由だけで、補助対象になるとは限りません。
自治体によっては、次のような点を確認します。
- 建物の危険度や不良度
- 倒壊や部材飛散のおそれ
- 道路や隣家への影響
- 建物の用途
- 空き家になった時期
- 対象地域
- 跡地の利用
- 所有者や相続人の状況
制度の目的が、危険な空き家による周辺被害を防ぐことに置かれている場合もあります。

所有者が危険だと感じていても、自治体の判定基準では補助対象に届かない場合があります。対象外になったときは、どの条件を満たさなかったのか確認しましょう。
管理不全空家等・特定空家等とは別に確認する
空家法上の管理不全空家等・特定空家等と、自治体の解体補助制度における補助対象建物は、必ずしも同じではありません。
特定空家等でなければ申請できない制度もあれば、自治体独自の老朽度判定を使う制度もあります。
反対に、行政から連絡を受けていても、補助制度の要件を満たすとは限りません。
制度名だけで判断せず、補助要綱と自治体の判定を確認してください。
契約・着工前に自治体へ確認する
補助制度を利用したい場合は、見積もりや契約を進める前に自治体へ相談します。
自治体によっては、申請、交付決定、契約、着工の順番が決められており、順番を誤ると対象外になる場合があります。
次を確認してください。
- 申請前に見積もりを取ってよいか
- いつから契約できるか
- いつから着工できるか
- 現地調査はいつ行われるか
- 交付決定前にできないことは何か
- 年度内の完了期限
- 完了報告に必要な書類
補助制度を利用する場合は、業者との契約や着工の前に、自治体へ申請可能な時期と手続きの順番を確認してください。見積もりを取る段階にも条件が設けられている場合があります。
業者・所有者・同意などの条件を確認する
自治体によっては、次のような条件があります。
- 市内業者や指定業者を利用する
- 一定の許可・登録がある業者を利用する
- 所有者または相続人が申請する
- 共有者や相続人の同意を得る
- 市税等の滞納がない
- 他の補助制度と重複しない
- 予算上限に達していない
これらは全国共通ではありません。
比較サービスで紹介された業者が、自治体の補助対象業者になるとは限らないため、契約前に自治体へ確認してください。

行政は補助制度の案内や判定を行っても、相続人同士の調整や業者との契約を代行するわけではありません。共有者がいる場合は、早めに方針と費用負担を話し合いましょう。
補助金が使えないと言われた場合
自治体へ確認したものの、危険度、申請時期、業者条件、相続人の同意などを理由に補助対象外となることもあります。
対象外になった場合は、その理由を確認したうえで、補助金なしで解体する、現状のまま売却する、買取を相談する、当面管理を続けるなどの方法を比較します。
補助金を使えなかった理由と、その後に選べる対応は次の記事で整理しています。

解体前に現状売却・買取も比較する
建物の老朽化が進んでいても、必ず先に解体した方がよいとは限りません。
古家付き土地として仲介売却できる場合や、建物・家財が残った状態で買取を相談できる場合があります。
一方、倒壊や部材飛散のおそれが高く、建物を残した状態では売却相談を進めにくいこともあります。
解体を決める前に、現状売却と買取の可能性を確認しておくと、後から選択肢を狭めずに済みます。
売却、買取、解体、管理の判断基準は、次の記事で比較しています。

見積もり依頼前のチェックリスト
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 土地・建物 | 名義人、共有者、未登記の有無 |
| 相続人 | 解体方針と費用負担について話し合えるか |
| 建物 | 構造、面積、老朽化、雨漏り、傾き |
| 接道 | 道路幅、重機やトラックが入れるか |
| 家財 | 残置物の量、所有者側で処分する物 |
| 付帯物 | 物置、塀、庭木、庭石、浄化槽、井戸 |
| アスベスト | 事前調査費、分析費、含有時の対応 |
| 補助制度 | 対象条件、申請時期、業者条件 |
| 固定資産税 | 解体後の住宅用地特例 |
| 売却可能性 | 現状売却・買取を相談したか |
| 見積書 | 工事範囲、別料金、追加費用条件 |
| 解体後 | 売却、利用、管理の方針 |
解体後に確認すること
建物滅失登記
登記されている建物を解体した場合は、建物滅失登記が必要です。
原則として、建物が滅失した日から1か月以内に申請します。
必要書類や未登記建物の扱いは、法務局または土地家屋調査士へ確認してください。
詳しい手続きは、法務局の「建物を取り壊した」を確認してください。
固定資産税
住宅を解体すると、土地に適用されていた住宅用地特例が外れ、翌年度以降の固定資産税等が変わる場合があります。
一方、危険な建物を税金だけを理由に残すと、管理費、修繕費、近隣への影響が続く可能性があります。
具体的な税額は、市区町村の税務担当窓口へ確認してください。
解体後の土地管理
建物を解体しても、土地の管理は残ります。
売却まで時間がかかる場合は、雑草、不法投棄、水たまり、境界、排水などの確認が必要です。
解体前に、土地として売るのか、当面所有するのかを整理しておきましょう。

補助金が使えない場合でも、すぐに解体だけを選ぶ必要はありません。補助金なしの見積額、現状売却、買取、当面の管理を比較してから決めましょう。
解体見積もりを依頼する前の確認
- 自治体の補助制度を確認した
- 契約・着工できる時期を確認した
- 補助対象業者の条件を確認した
- 相続人・共有者の同意を確認した
- 現状売却・買取も比較した
- 見積書で追加費用の条件を確認する
解体費用と工事内容を比較する
自治体の補助制度と業者条件を確認したら、解体費用と工事範囲を比較します。
同じ建物でも、付帯物、家財、アスベスト、地中埋設物、整地の扱いによって見積額が変わることがあります。
解体工事比較ナビでは、WEBから解体工事の見積もりを依頼できます。
空き家を解体するか迷っている場合は、先に解体費用の目安を確認しておくと、現状のまま売るか、解体して土地として売るかを比較しやすくなります。
解体費用は建物の状態や立地によって変わるため、複数の業者から見積もりを取って比較しましょう。
ただし、紹介された業者が自治体の補助対象業者になるとは限りません。補助制度を利用する場合は、契約前に自治体へ確認してください。
解体工事の相場と優良業者を無料で一括比較また、解体工事比較ナビは徳島県・高知県を対象外としています。
まとめ|自治体確認と複数見積もりを契約前に進める
空き家の解体費用は、建物の構造や大きさだけでは決まりません。
道路、隣家、家財、付帯物、アスベスト、地中埋設物、整地などによって総額が変わります。
見積書では、総額だけでなく、工事範囲、含まれる費用、別料金、追加費用が発生する条件を比較してください。
自治体の解体補助制度は全国共通ではありません。
建物の危険度、周囲への影響、申請時期、施工業者、所有関係、同意、予算などの条件が自治体ごとに異なります。
補助制度を利用したい場合は、解体業者と契約したり着工したりする前に、自治体へ手続きの順番を確認しましょう。
また、比較サービスで紹介された業者が自治体の補助対象業者になるとは限りません。
自治体の条件を確認したうえで、複数の見積書から工事範囲と追加費用を比較してください。
解体するか迷っている場合は、現状売却、空き家買取、管理を続ける方法も確認し、一つの方法だけで判断しないことが大切です。

