相続した空き家と土地を手放したいとき、「建物を解体すれば、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらえるのでは」と考える方もいるでしょう。
結論からいうと、建物がある土地はそのままでは申請できません。ただし、空き家を解体しても、土地の状態や権利関係によっては制度を利用できない可能性があります。
そのため、先に解体工事を依頼するのではなく、まず土地の登記名義、境界、担保権、通路としての利用状況などを確認し、法務局へ事前相談することが大切です。
また、制度を利用する場合は、建物の解体費用だけでなく、審査手数料、承認後の負担金、相続登記や境界確認にかかる費用も考える必要があります。
この記事は、自治体で空き家相談員として相談対応に関わった経験をもとに整理しています。
空き家相談の現場では、「建物を解体すれば国に引き取ってもらえる」と考えている方もいました。しかし、土地の状態や権利関係によって必要な対応は変わります。制度の利用条件や申請方法は、法務局の最新情報を確認してください。
相続土地国庫帰属制度を空き家付き土地に利用できるのか、解体前に確認したい条件と費用、法務局への相談方法、制度を使えなかった場合の選択肢を順番に解説します。
相続土地国庫帰属制度は空き家付き土地に使える?
相続土地国庫帰属制度は、相続などによって取得した土地を、一定の条件のもとで国庫へ帰属させる制度です。
ただし、空き家が建っている土地を、そのまま国へ引き取ってもらえる制度ではありません。
建物が残っている土地は申請できないため、制度の利用を検討する場合は、空き家の解体が必要になる可能性があります。
一方で、空き家を解体すれば必ず制度を利用できるわけではありません。
土地に次のような問題がある場合は、申請できない、または審査の結果、承認されない可能性があります。
- 土地の境界が明らかでない
- 所有権の範囲や帰属について争いがある
- 抵当権などの権利が設定されている
- 通路や水路など、他人による利用が予定されている
- 崖や埋設物などがあり、管理に多くの費用や手間がかかる
- 土壌汚染などの問題がある
そのため、「建物があるから、先に解体すればよい」と判断するのは避けた方がよいでしょう。
まずは土地の登記事項証明書や公図、現地の状況などを確認し、制度を利用できる可能性があるか法務局へ相談することが大切です。

空き家を解体する前に確認してください
解体費用を支払った後に、土地の条件が原因で制度を利用できないことが分かる可能性もあります。
先に法務局へ相談し、制度が使えなかった場合に、売却するのか、管理を続けるのか、解体して土地として売るのかまで整理してから進めましょう。
建物がある土地はそのまま申請できない
相続土地国庫帰属制度では、建物がある土地は申請できない土地に含まれます。
そのため、相続した土地に空き家が残っている場合は、そのまま制度を利用することはできません。
制度の利用を検討するには、建物の解体が必要になる可能性があります。
空き家を解体すれば必ず使えるわけではない
注意したいのは、空き家を解体したからといって、必ず国庫帰属が認められるわけではないことです。
建物以外にも、土地の状態や権利関係について確認されます。
たとえば、次のような問題がある場合は、申請できない、または審査の結果、承認されない可能性があります。
- 境界が明らかでない
- 所有権の範囲や帰属について争いがある
- 抵当権などが設定されている
- 他人が通路などとして利用している
- 崖や埋設物があり、管理に大きな負担がかかる
- 土壌汚染などの問題がある
つまり、建物は制度利用を妨げる条件の一つですが、解体すれば他の条件まで解決するわけではありません。

解体工事を先に契約しないことが大切です。
土地の条件を確認しないまま解体すると、費用をかけた後で制度を利用できないことが分かる可能性があります。
まずは登記事項証明書、公図、現地写真などを用意し、法務局へ相談してから解体を判断しましょう。
相続土地国庫帰属制度を申請できる人
相続土地国庫帰属制度を申請できるのは、相続や一定の遺贈によって土地を取得した人です。
単に土地を所有しているだけではなく、どのような経緯で取得した土地なのかを確認する必要があります。
相続や一定の遺贈で土地を取得した人
親や祖父母などが亡くなり、相続によって土地を取得した場合は、制度を利用できる可能性があります。
遺言による遺贈でも、相続人に対する一定の遺贈で取得した土地は対象になる場合があります。
一方で、売買や贈与だけで取得した土地は、その取得だけを理由に申請することはできません。
土地を取得した経緯が分からない場合は、登記事項証明書、戸籍、遺産分割協議書などを確認し、必要に応じて法務局や司法書士へ相談しましょう。
共有地は共有者全員での申請が必要
土地を兄弟姉妹など複数人で共有している場合は、原則として共有者全員で共同して申請する必要があります。
共有者の一人だけが、自分の持分のみを国へ引き取ってもらうことはできません。
そのため、申請前に共有者間で、次の点を確認しておく必要があります。
- 制度の利用について全員が同意しているか
- 解体費用や申請費用を誰が負担するか
- 誰が申請手続きの窓口になるか
- 制度を利用できなかった場合にどうするか
- 売却や管理継続など、他の選択肢も検討するか

相続人が複数いる場合は、先に方針をそろえましょう。
空き家相談の現場では、制度の条件よりも先に、相続人同士で解体費用や土地の扱いについて意見がまとまらず、手続きが進まないことがあります。
まずは誰が連絡窓口になるかを決め、制度が使えなかった場合の対応まで話し合っておくと進めやすくなります。
土地が親や祖父母名義のままになっている場合や、相続人の確認が終わっていない場合は、先に相続登記や戸籍収集などの手続きが必要になる可能性があります。

申請できない土地と承認されない可能性がある土地
相続土地国庫帰属制度では、国が引き取ることのできない土地の条件が定められています。
条件は、大きく次の2つに分けて考えると分かりやすくなります。
- 申請段階で対象外になる土地
- 申請はできても、審査の結果、承認されない可能性がある土地
この違いを知らずに建物を解体すると、解体費用をかけた後で、土地の別の問題によって制度を利用できないことが分かる可能性があります。
申請段階で対象外になる土地
次のような土地は、原則として承認申請を行うことができません。
- 建物がある土地
- 抵当権などの担保権や、他人が使用できる権利が設定されている土地
- 通路、墓地、水路など、他人による使用が予定されている土地
- 一定の基準を超える土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない土地
- 所有権の範囲や帰属について争いがある土地
たとえば、空き家を解体して建物がなくなっても、土地の境界が分からない場合や、抵当権が残っている場合は、そのまま申請を進められない可能性があります。
また、土地の一部が近隣住民の通路として使われているなど、国が取得した後も利用者との調整が必要になる土地は、申請できない場合があります。
審査後に承認されない可能性がある土地
申請を受け付けてもらえても、通常の土地より管理や処分に多くの費用や労力がかかると判断された場合は、承認されない可能性があります。
主な例は次のとおりです。
- 一定の勾配や高さがある崖があり、管理に大きな負担がかかる土地
- 除去しなければ管理や処分が難しい工作物、車両、樹木などが地上にある土地
- 地下に建物の基礎、廃棄物、井戸などの有体物がある土地
- 隣接地との争いや妨害があり、管理や処分が難しい土地
- そのほか、通常の管理や処分に過分な費用や労力が必要となる土地
空き家を解体した後も、地中に建物の基礎や浄化槽などが残る場合があります。
これらがあるから直ちに承認されないとは限りませんが、除去しなければ通常の管理や処分が難しいと判断される場合は、不承認となる可能性があります。

「申請できる」と「承認される」は別です。
申請書を受け付けてもらえたからといって、国庫帰属が決まったわけではありません。書面審査や実地調査などを経て、土地の状態が確認されます。
土地の条件を自分だけで判断せず、解体前に法務局へ相談し、確認が必要な点を整理しておきましょう。
なお、土地の状態や判断基準は個別事情によって異なります。最新の要件は、法務省の案内や法務局で確認してください。
参考:法務省「相続土地国庫帰属制度で引き取ることができない土地」
空き家を解体する前に法務局へ相談する
相続土地国庫帰属制度を利用するために空き家の解体を考えている場合は、工事を契約する前に法務局へ相談しましょう。
建物をなくしても、土地の境界、権利関係、利用状況、崖や埋設物などの条件によっては、申請できない、または承認されない可能性があるためです。
法務局への相談は事前予約制で、対面、電話、ウェブ相談から選べます。申請予定地がある都道府県の法務局・地方法務局の本局が基本の相談先です。
土地が遠方にあり、申請先となる法務局への相談が難しい場合は、近くの法務局・地方法務局の本局へ相談することもできます。
なお、支局や出張所では相談を受け付けていないため、予約前に相談先を確認してください。
事前相談で確認しておきたいこと
法務局への相談では、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 自分が制度を申請できる立場か
- 建物を解体した後、申請を検討できる土地か
- 境界や所有権について確認が必要か
- 抵当権や他人の利用権が残っていないか
- 通路や水路などとして利用されていないか
- 崖、樹木、工作物、埋設物などに問題がないか
- 共有者全員による申請が必要か
- 申請までに整理すべき書類や手続きは何か
事前相談では、土地の状況を伝えたうえで、申請を検討するために追加で確認すべき点を整理します。
ただし、事前相談を受けたことによって、国庫帰属の承認が保証されるわけではありません。最終的な判断は、申請後の審査や実地調査などによって行われます。
相談時に用意できる資料
相談する土地の状況が分かる資料を用意すると、確認事項を整理しやすくなります。
- 土地の登記事項証明書
- 公図や地積測量図
- 土地と空き家の現況写真
- 土地の位置が分かる地図
- 境界や接道状況が分かる資料
- 固定資産税の納税通知書や課税明細書
- 相続関係が分かる戸籍や遺産分割協議書
- 共有者がいる場合は共有関係が分かる資料
すべての資料を最初から用意できなくても、相談することはできます。手元にある資料を確認し、不足しているものは相談時に確認しましょう。

空き家相談の現場では、「建物があるなら、まず解体しなければならない」と考えている方もいました。しかし、解体後に土地の別の問題が分かると、費用をかけても制度を利用できない可能性があります。先に法務局へ相談し、制度が使えなかった場合の土地の扱いまで考えてから進めることが大切です。
制度を利用するために必要な費用
相続土地国庫帰属制度を利用する場合は、建物の解体費用だけで判断しないことが大切です。
申請前後には、土地や相続の状況に応じて、次のような費用がかかる可能性があります。
- 空き家の解体費用
- 家財や残置物の処分費用
- 申請時の審査手数料
- 承認後に納める負担金
- 境界確認や測量にかかる費用
- 相続登記や戸籍収集にかかる費用
- 工作物や地中埋設物を撤去する費用
制度を利用できなかった場合は、その後の固定資産税、草木の管理、定期点検なども続く可能性があります。
建物の解体費用
建物がある土地は、そのままでは相続土地国庫帰属制度を申請できません。
制度の利用を具体的に検討する場合は、空き家の解体が必要になる可能性があります。
解体費用は、次の条件によって変わります。
- 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造
- 建物の広さ
- 重機や工事車両が入れるか
- 隣家や道路との距離
- 家財や残置物の量
- 塀、物置、庭木などの撤去範囲
- アスベスト調査や除去の必要性
- 地中埋設物が見つかった場合の追加工事
見積書では、建物本体の解体費用だけでなく、残置物処分、付帯工事、重機回送、整地、追加費用が発生する条件まで確認しましょう。
自治体によっては、老朽化した空き家の解体費用に対する補助制度を設けている場合があります。
ただし、補助制度の有無、対象建物、所得要件、対象業者、補助率などは自治体ごとに異なります。工事契約や着工後では申請できない場合もあるため、先に土地所在地の自治体へ確認してください。
申請時の審査手数料
相続土地国庫帰属制度を申請する際は、審査手数料が必要です。
土地が複数の筆に分かれている場合は、筆数に応じて必要な手数料が増える可能性があります。
審査手数料は、申請後に承認されなかった場合や、申請を取り下げた場合でも返還されないことがあります。
金額や納付方法は変更される可能性があるため、申請前に法務省または法務局の最新情報を確認してください。
承認後の負担金
審査の結果、国庫帰属が承認された場合は、国が土地を管理するための負担金を納めます。
負担金は、土地の種類、面積、所在などによって計算方法が異なる場合があります。
解体費用や審査手数料とは別に必要になるため、制度を利用するための総費用として考えておきましょう。
承認後、指定された期限までに負担金を納付しなければ、承認の効力が失われる可能性があります。納付額、期限、方法は、通知内容を確認してください。
境界確認や登記に費用がかかる場合もある
土地の境界が明らかでない場合は、隣接地所有者との確認や測量が必要になる可能性があります。
また、土地が親や祖父母名義のままになっている場合は、相続登記、戸籍収集、遺産分割協議などの手続きが必要になることがあります。
未登記の建物がある場合や、解体後に建物滅失登記が必要な場合は、土地家屋調査士への確認も検討してください。

解体費用だけで制度の利用を決めないようにしましょう
解体費用、審査手数料、負担金、登記や境界確認の費用を合計すると、想定より負担が大きくなる場合があります。
制度が利用できなかった場合の管理費や売却可能性も含め、必要な費用を一覧にしてから判断することが大切です。
相続登記や共有者の整理も必要
相続土地国庫帰属制度を検討する前に、土地の名義や相続人の状況を確認しておく必要があります。
土地が亡くなった親や祖父母の名義のままになっている場合や、相続人が複数いる場合は、申請や解体の方針をすぐに決められないことがあります。
土地が親や祖父母名義のままの場合
相続した土地の名義が被相続人のままになっている場合は、まず現在の登記名義と相続関係を確認しましょう。
確認する主な内容は次のとおりです。
- 土地の登記名義人
- 相続人の人数と関係
- 遺言書の有無
- 遺産分割協議が済んでいるか
- 相続登記が済んでいるか
- 土地が共有名義になっていないか
相続登記、戸籍収集、相続人確認、名義変更などが必要な場合は、法務局や司法書士へ相談してください。
相続人同士で争いがある場合は、司法書士だけでは対応できないこともあるため、弁護士への相談が必要になる可能性があります。
相続登記や名義確認の流れは、次の記事で詳しく整理しています。

相続人が複数いる場合に決めること
土地を複数の相続人で共有している場合は、原則として共有者全員で申請する必要があります。
そのため、法務局への相談や解体業者への見積もり依頼を進める前に、次の内容を話し合っておきましょう。
- 相続土地国庫帰属制度を利用するか
- 誰が申請や業者対応の窓口になるか
- 解体費用を誰が負担するか
- 審査手数料や負担金をどう分担するか
- 制度を利用できなかった場合に売却するか
- 管理を続ける場合は誰が担当するか

相続人が複数いる空き家では、制度の条件を調べるだけでなく、誰が窓口になるか、費用をどう分担するかを先に決めることが大切です。制度を使えなかった場合の売却や管理についても話し合っておくと、その後の判断が進めやすくなります。
未登記建物がある場合の相談先
土地の登記は確認できても、空き家の建物が未登記になっていることがあります。
また、固定資産税の課税台帳には建物が載っていても、法務局では建物登記が確認できない場合もあります。
未登記建物の確認、建物表題登記、解体後の建物滅失登記などは、土地家屋調査士が主な相談先です。
司法書士は土地や建物の相続登記を扱いますが、未登記建物の表題登記は土地家屋調査士の業務になります。相談内容に応じて窓口を分けましょう。
未登記の空き家を売却・解体する際の確認事項は、次の記事で詳しく整理しています。

自治体や法務局が、相続人同士の話し合い、登記申請、解体業者の手配を代行するわけではありません。必要に応じて、司法書士、土地家屋調査士、弁護士などへ相談してください。
制度を使えなかった場合の選択肢
相続土地国庫帰属制度は、申請すれば必ず利用できる制度ではありません。
土地の状態、境界、権利関係、管理負担などによっては、申請できない、または審査の結果、承認されない可能性があります。
そのため、空き家を解体する前に、制度を利用できなかった場合の土地の扱いも考えておくことが大切です。
空き家付きのまま売却する
建物が古い場合でも、立地、接道、土地の広さ、周辺需要などによっては、空き家付きのまま売却できる可能性があります。
解体費用をかける前に、不動産会社へ現状のまま取り扱えるか確認しておくと、解体と売却を比較しやすくなります。
ただし、相続登記が済んでいない場合や、共有者間で売却方針が決まっていない場合は、先に名義や相続関係を整理する必要があります。
相続した空き家を売るまでの流れは、次の記事で整理しています。

空き家や土地の買取を相談する
通常の仲介売却が難しい場合は、空き家や売りにくい不動産を扱う買取業者へ相談する方法もあります。
たとえば、次のような土地や空き家は、一般的な仲介では取り扱いが難しい場合があります。
- 築年数が古い
- 地方や田舎にある
- 残置物が多い
- 再建築できない可能性がある
- 共有名義や借地権など、権利関係が複雑
- 長期間放置されている
一社に断られても、別の不動産会社や専門の買取業者で取り扱える可能性があります。
通常の不動産会社に断られた場合の相談先は、次の記事で整理しています。

解体して土地として売る
建物を解体し、更地にしてから売却する方法もあります。
ただし、解体すれば必ず売れるわけではありません。土地の需要、接道、形状、用途地域、インフラの状況などによって、売却のしやすさは変わります。
また、解体後は建物がなくなるため、住宅用地に対する固定資産税の特例が適用されなくなる可能性があります。
解体を決める前に、次を比較してください。
- 空き家付きのまま売る場合の査定額
- 解体費用
- 解体後の土地の査定額
- 解体後の固定資産税
- 売却までの管理費
- 相続土地国庫帰属制度を利用する場合の費用
売るか解体するか迷う場合の判断基準は、次の記事で詳しく整理しています。

管理を続ける
すぐに売却、解体、国庫帰属を進められない場合は、当面の間、所有者や相続人が管理を続けることになります。
管理を続ける場合は、次のような対応が必要になる可能性があります。
- 定期的な現地確認
- 換気や通水
- 郵便物の確認
- 庭木や雑草の手入れ
- 屋根、外壁、雨どいの確認
- ハチの巣や害虫・害獣の確認
- 近隣から連絡があった場合の対応
遠方に住んでいて管理できない場合は、親族、不動産会社、地域の事業者などへ個別の作業を依頼する方法もあります。
ただし、管理を続ける場合は、固定資産税、修繕費、移動費、草刈りなどの費用が継続します。

相続土地国庫帰属制度だけを前提に解体すると、制度を使えなかった場合に土地だけが残ることがあります。解体前に、売却、買取、管理継続のどれを選ぶかも比較しておくと、その後の判断がしやすくなります。
法務局へ相談した後に解体費用を比較する
相続土地国庫帰属制度の利用を検討している場合は、先に土地の条件や必要な手続きを確認し、その後で解体費用を比較しましょう。
空き家を解体しても、境界、権利関係、崖、埋設物、他人による利用状況などによっては、制度を利用できない可能性があります。
そのため、解体業者へ正式に依頼する前に、次の順番で進めることが大切です。
- 土地の登記名義と相続関係を確認する
- 公図や現地写真などを用意する
- 法務局へ事前相談する
- 相続人や共有者の方針を確認する
- 制度を使えなかった場合の売却や管理も比較する
- 解体する方針が固まった段階で見積もりを取る

空き家相談では、解体費用だけを確認して、その後の土地の扱いが決まっていないケースもありました。国庫帰属制度、売却、管理継続のどれを選ぶ場合でも、解体後に土地だけが残った場合の対応まで考えてから進めることが大切です。
相談先を内容別に整理
相続土地国庫帰属制度を検討するときは、相談内容によって窓口が異なります。
すべてを同じ専門家や自治体で解決できるわけではないため、困っている内容に合う相談先を選びましょう。
| 確認・相談したい内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続土地国庫帰属制度の条件、申請方法、必要書類 | 法務局・地方法務局の本局 |
| 土地の相続登記、名義変更、戸籍収集、相続人確認 | 法務局、司法書士 |
| 未登記建物、建物表題登記、建物滅失登記 | 土地家屋調査士 |
| 相続人同士の争い、遺産分割について意見がまとまらない | 弁護士 |
| 解体補助金の有無や申請条件 | 土地所在地の自治体 |
| 固定資産税や解体後の土地の課税 | 土地所在地の自治体の税務担当窓口 |
| 建物の解体費用、工事範囲、追加費用 | 解体業者 |
| 空き家付きのまま売却できるか | 不動産会社 |
| 通常の仲介では売りにくい空き家や土地 | 空き家・訳あり不動産を扱う買取業者 |
相談先を選ぶときは、次の点を整理しておくと話が進みやすくなります。
- 土地と建物の所在地
- 現在の登記名義人
- 相続人や共有者の人数
- 建物が登記されているか
- 空き家の状態
- 土地の境界や接道について分かっていること
- 売却、解体、国庫帰属のどれを検討しているか
- 自治体や近隣から連絡を受けているか
最初からすべての資料をそろえる必要はありません。分かる範囲で整理し、相談先から追加で必要な資料を確認してください。

空き家相談では、制度の相談、相続登記、未登記建物、解体費用を同じ窓口で解決できると思っている方もいました。相談内容によって担当が異なるため、まず何を確認したいのかを一つずつ整理すると、必要な相談先を選びやすくなります。
まとめ|解体前に制度の条件と使えなかった場合の出口を確認する
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を一定の条件のもとで国庫へ帰属させる制度です。
ただし、建物がある土地はそのままでは申請できません。また、空き家を解体しても、境界、権利関係、崖、埋設物、他人による利用状況などによっては、申請できない、または承認されない可能性があります。
そのため、空き家を解体する前に、次の順番で確認することが大切です。
- 土地の登記名義と相続人を確認する
- 共有者がいる場合は申請方針を話し合う
- 登記事項証明書、公図、現地写真などを用意する
- 法務局へ事前相談する
- 解体費用、審査手数料、負担金などを確認する
- 制度を利用できなかった場合の売却・買取・管理も比較する
- 解体する方針が固まってから複数の見積もりを確認する
相続登記が済んでいない場合は司法書士、未登記建物については土地家屋調査士、相続人同士の争いがある場合は弁護士など、相談内容に合った窓口を選んでください。
解体補助金や固定資産税の扱いは自治体によって異なるため、土地所在地の自治体への確認も必要です。

空き家を解体してから制度を利用できないことが分かると、費用をかけたうえで土地だけが残る可能性があります。まず法務局へ相談し、制度が使えなかった場合に売るのか、管理を続けるのかまで整理してから進めましょう。
まず行うこと
手元にある登記事項証明書、公図、固定資産税の課税明細書、現地写真などを確認し、法務局の事前相談を予約してください。
その後、相続人や共有者で方針を話し合い、解体が必要と判断した段階で費用を比較しましょう。

