「不動産会社では売却が難しいと言われたけれど、空き家バンクなら登録できるのではないか」
「親の家具や生活用品が残ったままでも、空き家バンクに載せてもらえるのだろうか」
実家の空き家を手放したい人の中には、このような疑問を持つ人も多いでしょう。
空き家バンクは、空き家を売りたい・貸したい所有者と、利用したい人をつなぐ仕組みです。ただし、申し込めばどのような空き家でも掲載してもらえるわけではありません。
登録条件は自治体によって異なり、所有者や相続の状況、建物の状態、接道、権利関係などによっては、登録が難しい場合があります。
また、家財や生活用品などの残置物がある状態でも登録できる自治体はありますが、室内の様子が分かりにくく、購入後の片付けを負担に感じられることで、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。
この記事では、空き家バンクに登録できない主な理由、登録前に確認したい名義や相続、借地上の建物、残置物がある場合の考え方を分かりやすく解説します。
登録できなかった場合や、登録しても売れなかった場合の次の選択肢も整理するので、まず何から確認すればよいか分からない人は、順番に確認してみてください。
先に土地と建物の名義や相続状況を確認したい人は、以下の記事も参考にしてください。

空き家バンクに登録できない主な理由
空き家バンクは、自治体が空き家を買い取る制度ではありません。
空き家を売りたい・貸したい所有者から物件情報を集め、空き家を探している人へ提供する仕組みです。
国土交通省は、自治体が把握・提供する物件情報を横断的に検索できる「全国版空き家・空き地バンク」も案内しています。
ただし、実際の登録条件、必要書類、現地確認の方法などは自治体によって異なります。
相談現場では、主に次の点を確認していました。
- 相談している人は誰か
- 土地の所有者は誰か
- 建物の所有者は誰か
- 相談者に売却や賃貸を進める権限があるか
- 相続が発生しているか
- 共有者やほかの相続人がいるか
- 建物が利用できる状態か
- 接道や借地など、取引上の問題がないか
- 室内にどの程度の残置物があるか
ここからは、登録が難しくなる主な理由を見ていきましょう。
相談者の権限や所有者の意向を確認できない
空き家バンクへ相談するときは、建物だけでなく、土地の所有者も確認することが大切です。
ただし、土地と建物の所有者が違うからといって、それだけで空き家バンクへ登録できないとは限りません。
自治体の登録条件や物件の権利関係によっては、土地と建物の所有者が異なる状態でも、相談や登録を進められる場合があります。
相談現場で確認していたのは、土地と建物の名義が一致しているかどうかだけではありません。
- 土地の所有者は誰か
- 建物の所有者は誰か
- 相談者はどのような立場の人か
- 土地所有者と連絡が取れるか
- 所有者間で売却や賃貸について話し合っているか
- 共有者や相続人がほかにいないか
たとえば、親が建物を所有していても、土地は親族や第三者が所有していることがあります。
この場合、名義が異なることだけを理由に登録を諦めるのではなく、自治体や不動産会社へ権利関係を説明し、どのような確認や手続きが必要かを聞くことが大切です。
相続登記や権利関係が整理されていない
親が亡くなっていても、登記名義が親や祖父母のままになっているケースがあります。
相続人が複数いる場合は、誰が不動産を引き継ぐのか決まっていなかったり、家族間の話し合いが終わっていなかったりすることもあります。
この状態では、仮に物件情報を掲載できたとしても、売買契約を具体的に進められない可能性があります。
自治体によっては、相続登記が完了していることや、完了する見込みがあること、共有者の同意を得ていることなどを登録時に確認する場合があります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。不動産を相続したことと、その所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請する必要があります。
相続人が分からない、必要な戸籍を集められない、話し合いが進まないといった場合は、法務局や司法書士へ相談しましょう。
相続登記については、次の記事で詳しく解説しています。

建物が利用できる状態ではない
空き家バンクは、これから建物を使いたい人へ物件情報を提供する仕組みです。
そのため、倒壊のおそれがある、雨漏りや腐食が著しい、大規模な修繕をしなければ利用できないといった空き家は、登録が難しい場合があります。
ただし、築年数が古いだけで登録できないとは限りません。
建物の傷み方、必要な修繕、利用できる可能性、地域の需要などを確認したうえで判断されます。
自治体によっては、多少の修繕が必要な物件も登録対象にしています。反対に、現地調査の結果、危険性が高いと判断された物件は登録できないことがあります。
申し込み前に、物件所在地の自治体へ現地確認の基準を聞いておきましょう。
接道や土地利用に問題がある
建物自体が使える状態でも、土地や道路に関する問題で取引が難しくなる場合があります。
相談現場では、次のような事情がありました。
- 敷地が道路に十分接していない
- 再建築できない可能性がある
- 家へ行くために第三者の土地を通る必要がある
- 通路の利用について書面がない
- 土地と建物の所有者が異なる
- 借地契約の内容が分からない
- 抵当権などが残っている
これらの問題があるからといって、直ちに登録や売却が不可能になるとは限りません。
ただし、利用希望者との取引に影響するため、登録時に状況を確認しておく必要があります。
自治体独自の登録条件を満たしていない
空き家バンクの目的は自治体によって異なります。
移住や定住を促すことを重視している自治体もあれば、地域内の空き家流通を広く支援している自治体もあります。
そのため、次のような条件が設けられている場合があります。
- 指定された地域内にあること
- 居住用の一戸建てであること
- 所有者や共有者の意向を確認できること
- 建物が一定程度利用できる状態であること
- 税金の滞納がないこと
- 現地調査に協力できること
- 登録後の内覧に対応できること
これらは全国共通の条件ではありません。
インターネット上の一般的な説明だけで判断せず、物件所在地の自治体が公開している要綱、必要書類、登録条件を確認してください。
まず確認したいのは土地と建物の名義
空き家バンクを検討するとき、最初から片付けや修繕を始める必要はありません。
相談現場で最初に確認していたのは、次の4点です。
- 相談している人は誰か
- 土地の所有者は誰か
- 建物の所有者は誰か
- 相談者に売却や賃貸を進める権限があるか
所有者や関係者の意向を確認しないまま片付けや修繕に費用をかけても、後から同意を得られず、売却や賃貸を進められない可能性があります。
親の家でも親名義とは限らない
「親が長年住んでいた家だから、当然、土地も建物も親の名義だろう」と考える人は少なくありません。
しかし、実際には次のようなケースがあります。
- 土地が祖父母の名義になっている
- 土地と建物の所有者が違う
- 兄弟姉妹などとの共有名義になっている
- 建物が登記されていない
- 抵当権などが残っている
- 土地を借りて建物を所有している
名義が想定と違っていた場合でも、それだけで空き家バンクへ登録できないとは限りません。
ただし、土地と建物の所有者が異なる場合や共有者がいる場合は、登録後の売却や賃貸を進めるために、関係者の意向や必要な承諾を確認することになります。
片付けや修繕に費用をかける前に、土地と建物それぞれの名義と、関係する所有者の意向を確認しておくことが重要です。
固定資産税が課税されていても登記済みとは限らない
固定資産税の納税通知書が届いているため、「建物も法務局で登記されている」と考える人もいます。
しかし、自治体は未登記の家屋についても調査し、固定資産課税台帳へ登録して固定資産税を課税する場合があります。
したがって、次のように判断することはできません。
「固定資産税を払っているから、土地と建物の登記も問題ない」
法務局で土地と建物の登記事項証明書をそれぞれ確認しましょう。
建物の登記情報が見つからない場合は、法務局、土地家屋調査士、司法書士などへ相談してください。
借地上の建物を売却する場合は地主の承諾を確認する
土地を借り、その土地の上に自分の建物を所有している場合は、借地権の内容を確認します。
借地権には、土地賃借権や地上権などがあり、必要な手続きが同じとは限りません。
一般的な土地賃借権の場合、借地上の建物を第三者へ売却すると、通常は土地賃借権も買主へ引き継ぐことになります。
民法では、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸したりできないと定められています。
そのため、土地賃借権を伴う建物の売却では、原則として土地所有者である地主の承諾が必要です。
地主の承諾を得られない場合でも、一定の条件を満たせば、借地借家法に基づき、裁判所へ地主の承諾に代わる許可を申し立てられる場合があります。
借地契約書が見つからない場合や、地主と連絡が取れない場合は、自治体だけで判断せず、不動産会社や弁護士などへ相談してください。
借地上の建物だけを貸す場合は原則として承諾不要
建物の所有者を変えず、その建物だけを第三者へ賃貸する場合は、通常、土地賃借権の譲渡や土地そのものの転貸には当たりません。
そのため、借地上の建物を第三者へ貸すだけであれば、地主の承諾は原則として必要ないと考えられています。
ただし、次のような場合は、借地契約の内容や地主への確認が必要になることがあります。
- 居住用から店舗や事務所などへ用途を変える
- 借地契約に建物用途についての制限がある
- 建物だけでなく、土地や駐車場を独立して第三者へ貸す
- 増改築や大規模な用途変更を行う
- 土地を無償で借りる使用貸借になっている
- 契約関係や借地権の種類が分からない
空き家バンクへの賃貸登録を検討する場合も、「建物を貸すだけだから何も確認しなくてよい」と考えず、借地契約書や利用条件を確認しましょう。
相続が発生している場合は相続人を確認する
相続人が誰かを、家族の記憶だけで決めることはできません。
親戚の連絡先を把握しておくことは役立ちますが、法的な相続人を確定するためには、出生から死亡までの戸籍などを確認する必要がある場合があります。
司法書士は、相続人調査と相続登記を一緒に依頼できる場合があります。
行政書士も戸籍収集や相続関係説明図の作成などを扱える場合がありますが、登記申請の代理は司法書士の業務です。
具体的に依頼できる業務は、相談先へ事前に確認してください。
残置物があっても空き家バンクへ登録できる?
残置物があるだけで、必ず空き家バンクへ登録できないわけではありません。
家財が残ったままでも登録できる自治体がある一方、登録前や引き渡し前の整理を求める自治体もあります。
最終的には、物件所在地の自治体へ確認が必要です。
登録できても売れにくくなる可能性がある
相談現場では、残置物を残したまま登録する人に対して、登録後に売れにくくなる可能性を説明していました。
残置物が多いと、次のような問題が起きやすくなります。
- 床や壁の状態が見えない
- 部屋の広さが伝わりにくい
- 掲載写真が暗く雑然として見える
- 内覧者が入居後の生活を想像しにくい
- 購入後の処分費用を心配される
- 何を残し、何を処分するのか交渉が必要になる
所有者にとって価値のある家財でも、購入希望者にとっては処分が必要な物に見える場合があります。
空き家バンクへ登録できるかどうかだけでなく、購入や賃借を検討する人から室内がどう見えるかも考えておきましょう。
まず自力で片づけられるごみを整理する
相談現場では、最初からすべての家財を処分したり、業者へ依頼したりするよう求めていたわけではありません。
まずは、自分で無理なく片づけられるごみを整理するよう伝えていました。
たとえば、次のような物です。
- 明らかなごみ
- 空の容器や古い新聞
- 腐敗するおそれのある食品
- 壊れて使用できない小物
- 自治体の通常収集に出せる物
ただし、家族の思い出の品や重要書類まで、急いで処分する必要はありません。
現金、通帳、権利証、登記識別情報、保険証券、契約書、写真、貴金属などが混ざっている可能性があります。
遺品とごみを分けながら、無理のない範囲で進めてください。
自力で難しい場合は遺品整理業者への相談も検討する
次のような場合は、家族だけで片づけるのが難しいことがあります。
- 実家が遠方にある
- 家財が複数の部屋に残っている
- 大型家具や家電を運び出せない
- 遺品を確認しながら分別したい
- 仕事や介護で片付ける時間を確保できない
- 家族だけでは精神的な負担が大きい
相談現場では、自力での整理が難しい人に、地域で遺品整理や家財整理に対応する事業者の情報を案内することがありました。
ただし、自治体から案内された業者だからといって、料金や作業内容を自治体が保証するわけではありません。
業者へ依頼するときは、次の点を確認しましょう。
- どこまでが見積もりに含まれるか
- 遺品の仕分けに対応しているか
- 貴重品や重要書類を探してもらえるか
- 追加料金が発生する条件
- 家財の搬出後に清掃を行うか
- 処分しない物を事前に指定できるか
実家の片付けを進める順番については、次の記事でも詳しく説明しています。

遺品整理に伴う家財整理を自力で進めるのが難しい方へ
遠方の実家に家財が多く残っている場合や、重要書類を確認しながら整理したい場合は、遺品整理に対応する業者へ作業範囲と費用を相談する方法があります。
依頼前に、対応地域、見積もりに含まれる作業、追加料金が発生する条件を確認してください。
空き家バンクへ登録する前に準備すること
自治体へ相談するときは、分かる範囲で物件情報を整理しておくと、話を進めやすくなります。
すべての書類を最初からそろえる必要はありません。まずは次の項目を確認しましょう。
土地と建物の登記情報を確認する
土地と建物の登記事項証明書を確認します。
確認したい主な内容は次のとおりです。
- 土地の所有者
- 建物の所有者
- 共有者の有無
- 所有者の登記上の住所
- 抵当権などの有無
- 建物が登記されているか
土地と建物の所有者が異なる場合は、それだけで登録不可と判断せず、どのような権利で土地を利用しているのかも確認します。
相続登記の進み具合を整理する
相続が発生している場合は、次の点を整理します。
- 遺言書があるか
- 相続人は誰か
- 遺産分割協議が終わっているか
- 誰が不動産を引き継ぐ予定か
- 相続登記を申請済みか
- 共有になる場合は関係者の意向が一致しているか
話し合いが終わっていない場合は、登録準備より先に相続関係を整理した方がよいことがあります。
建物の状態と修繕箇所を確認する
建物については、少なくとも次の点を確認します。
- 雨漏りの有無
- 屋根や外壁の破損
- 床の沈みや傾き
- 水道、電気、ガスの使用状況
- 給湯器や設備の故障
- シロアリや害獣の被害
- 庭木や雑草の状態
すぐに修繕工事を発注する必要はありません。
現状のまま登録するのか、最低限の修繕をしてから登録するのか、修繕費を売却価格に反映するのかを比較するための材料にします。
室内外の写真を撮れる状態にする
空き家バンクでは、物件の外観や室内写真を掲載することがあります。
残置物をすべて処分できなくても、次の工夫で建物の状態が伝わりやすくなります。
- 床が見える範囲を増やす
- 窓の前の荷物を移動する
- カーテンや雨戸を開けて明るくする
- 個人情報が写る物を片づける
- 家族写真や表札を写さない
- 壊れた物や明らかなごみを先に撤去する
無理にきれいに見せるのではなく、利用希望者が建物の状態を判断できる写真を用意することが重要です。
売却・賃貸の希望条件を家族で話し合う
所有者や相続人が複数いる場合は、自治体へ相談する前に、次の点を話し合っておきましょう。
- 売却と賃貸のどちらを希望するか
- いくらで売りたい、または貸したいか
- いつまでに手放したいか
- 残置物を誰が片づけるか
- 修繕費や片付け費用を誰が負担するか
- 価格を変更する場合、誰が決めるか
特に話が止まりやすいのが、お金の問題です。
片付け費用や修繕費を誰が負担するか決まらず、そのまま空き家が放置されるケースもあります。
最初から結論を出せなくても、必要になりそうな費用を見える形にすると、家族で話し合いやすくなります。
空き家バンクに登録できても必ず売れるとは限らない
空き家バンクは、買い手や借り手が見つかることを保証する制度ではありません。
登録後も問い合わせが入らなかったり、内覧後に断られたりする可能性があります。
価格が地域の需要に合っていない
所有者にとって思い入れのある実家でも、売却価格は地域の需要や建物の状態に左右されます。
周辺の土地や中古住宅と比べて価格が高い場合は、問い合わせが入りにくくなります。
固定資産税評価額、購入時の価格、建築費などが、そのまま現在の売却価格になるわけではありません。
地域の不動産会社の意見も聞きながら、現実的な価格を検討しましょう。
修繕や残置物処分の負担が大きい
購入後に次の費用が必要な物件は、希望者が慎重になりやすくなります。
- 屋根や外壁の修繕
- 水回り設備の交換
- シロアリ対策
- 残置物の整理
- 庭木の伐採
- 境界確認
- 登記手続き
所有者側で修繕や片付けを行う方法もあれば、現状のまま価格を調整して売る方法もあります。
修繕費をかければ、必ず売れたり売却価格が上がったりするわけではありません。
修繕前の確認事項については、次の記事も参考にしてください。

立地や接道など物件固有の問題がある
建物をきれいに片づけても、立地や接道などの問題は残ります。
交通が不便な場所、土地需要が弱い地域、再建築が難しい土地などは、登録後も買い手が見つかりにくい場合があります。
この場合、片付けや値下げだけで解決しようとせず、売れにくい理由を不動産会社へ具体的に確認することが大切です。
登録できない・売れない場合の次の選択肢
空き家バンクに登録できなかったからといって、手放す方法がなくなったわけではありません。
断られた理由によって、次に相談する相手は変わります。
地域の不動産会社へ相談する
空き家バンクへ登録できない場合でも、不動産会社が取り扱える可能性があります。
自治体の空き家バンクと一般の不動産取引では、登録条件や販売方法が異なるためです。
地域の土地事情や空き家の取引実績がある不動産会社に、次の点を確認しましょう。
- 現状のまま売却できるか
- 片付け後なら取り扱えるか
- 建物付きと土地だけのどちらが売りやすいか
- 売却が難しい具体的な理由
- 隣地所有者への相談が現実的か
1社に断られても別の不動産会社へ相談する
相談現場では、1社に断られただけで「この空き家は売れない」と判断しないよう案内していました。
不動産会社によって、対応地域、得意な物件、顧客層、仲介や買取の方針が違います。
何社にも相談するのは負担ですが、地域で対応できる会社を一通り当たることで、取り扱ってくれる会社が見つかる場合があります。
不動産会社に断られた後の進め方は、次の記事で詳しく説明しています。

売りにくい物件を扱う買取業者へ相談する
次のような事情がある空き家は、一般的な仲介売却や空き家バンクで扱いにくいことがあります。
- 共有名義になっている
- 再建築できない可能性がある
- 借地権が関係している
- 長期間放置されている
- 接道や通行に問題がある
- 建物の老朽化が著しい
このような場合は、売りにくい不動産を扱う買取業者へ相談する方法があります。
ただし、買取価格は仲介売却より低くなる傾向があり、物件によっては買い取ってもらえない場合もあります。
仲介と買取の違いについては、次の記事も参考にしてください。

一般の不動産会社や空き家バンクで扱いが難しい場合
地域の不動産会社を一通り当たっても、再建築不可、共有名義、借地権、長期放置などを理由に取り扱いが難しい場合は、訳あり不動産を扱う買取サービスへ相談する選択肢があります。
すべての物件が買取対象になるとは限りません。相続人や共有者が確定していない場合や、関係者間で争いがある場合は、先に司法書士や弁護士などへ相談してください。
修繕して売るか現状のまま売るか比較する
雨漏りや外壁の破損がある場合は、修繕してから売る方法と、現状のまま売る方法を比較します。
すぐに修繕を決めるのではなく、次の金額を確認しましょう。
- 修繕費
- 片付け費用
- 修繕後に見込まれる売却価格
- 現状のまま売る場合の査定額
- 売れるまでに必要な管理費
修繕費を回収できるとは限りません。不動産会社の査定と修繕業者の見積もりを確認してから判断しましょう。
管理を続けるか解体するか費用を比較する
建物の老朽化が進み、売却や利用が難しい場合は、管理を続けるか解体するかを検討します。
ただし、解体すればすべての負担がなくなるわけではありません。
建物に由来する危険や修繕負担は減りますが、土地の固定資産税、草刈り、見回りなどは残ります。
5年後、10年後を想定し、管理費、修繕費、解体費などを比較してください。
土地まで手放したい場合は、解体後の売却や隣地所有者への相談など、その先の出口も考えておくことが重要です。

自治体への寄付を前提にしない
「空き家バンクに登録できないなら、自治体へ無料で寄付したい」と考える人もいます。
しかし、自治体への寄付は、売れない空き家の一般的な処分方法としては期待しにくいのが実情です。
自治体は、建物を取得した後の管理費、修繕費、解体費などを負担することになるためです。
自治体への寄付については、次の記事で詳しく解説しています。

空き家バンクへの相談から登録までの進め方
1.所有者と相続状況を確認する
土地と建物の登記事項証明書を確認し、それぞれの所有者と権利関係を整理します。
相続が発生している場合は、相続人と相続登記の状況も確認しましょう。
2.自治体の登録条件を確認する
物件所在地の自治体ホームページや窓口で、次の情報を確認します。
- 登録対象となる物件
- 申し込める人の条件
- 必要書類
- 現地調査の有無
- 残置物の扱い
- 仲介を担当する不動産会社
- 登録期間
- 売買や賃貸が成立した場合の手続き
3.自力で整理できるごみを片づける
残置物がある場合は、まず自分で処分できるごみから整理します。
重要書類や思い出の品を誤って捨てないよう、分別しながら進めてください。
自力で難しい場合は、遺品整理や家財整理に対応する業者へ見積もりを依頼します。
4.現地確認と必要書類の準備を進める
自治体や担当する不動産会社が現地を確認する場合があります。
見栄えを整えるだけではなく、建物の傷みや設備の故障、借地や通路などの問題も、分かる範囲で正確に伝えてください。
5.登録できない場合は理由を確認する
登録を断られた場合は、「古いから仕方がない」と終わらせず、具体的な理由を聞きましょう。
- 名義や相続の問題
- 借地や共有関係
- 建物の老朽化
- 接道や通行の問題
- 残置物
- 制度の対象地域
- 自治体独自の登録条件
理由が分かれば、次に相談すべき相手も見えてきます。
6.理由に応じて相談先を選ぶ
| 困っていること | 主な相談先 |
|---|---|
| 空き家バンクの登録条件 | 物件所在地の自治体 |
| 相続人や相続登記 | 法務局、司法書士 |
| 借地や地主の承諾 | 不動産会社、弁護士など |
| 未登記建物や境界 | 土地家屋調査士、法務局 |
| 売却価格や販売方法 | 地域の不動産会社 |
| 遺品や家財の整理 | 遺品整理業者 |
| 売りにくい物件 | 対応実績のある買取業者 |
| 修繕の必要性 | 不動産会社、修繕業者 |
| 解体費用 | 解体業者、自治体の補助金窓口 |
一度にすべてを解決しようとせず、登録できない原因から順番に整理していきましょう。
まとめ|登録条件を確認し、難しい場合は次の出口を探す
空き家バンクの登録条件は自治体によって異なります。
土地と建物の所有者が違うからといって、それだけで登録できないとは限りません。
ただし、登録後に売却や賃貸を進めるためには、土地と建物の権利関係、相続人、共有者、借地契約などを確認しておく必要があります。
空き家バンクへの相談は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 土地と建物の所有者を確認する
- 相続や共有関係を確認する
- 借地の場合は契約内容を確認する
- 自治体の登録条件を確認する
- 自力で片づけられるごみを整理する
- 登録できない場合は具体的な理由を聞く
- 理由に応じて不動産会社や専門家へ相談する
残置物がある状態で登録できる場合でも、室内の状態が伝わりにくく、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。
まずは無理のない範囲でごみを整理し、家族だけでは難しい場合は、遺品整理に伴う家財整理を業者へ相談しましょう。
空き家バンクに登録できない場合も、地域の不動産会社、専門買取、現状売却、修繕、管理、解体など、ほかの選択肢があります。
登録できなかった理由を確認し、その原因に合った次の相談先を選ぶことが、空き家問題を前へ進める第一歩です。

