親が亡くなったり、施設へ入居したりして、実家が空き家になることがあります。
いざ誰も住まなくなると、
- 相続登記から始めるべきか
- すぐに家財を片付けるべきか
- 売却や解体を急いで決めるべきか
- 遠方に住んでいても管理できるか
- 近隣や自治体への対応が必要か
と迷う方も多いでしょう。
結論から言うと、実家が空き家になったら、最初に売却や解体を決めるのではなく、次の順番で現在の状況を確認します。
- 建物と敷地に危険がないか
- 近隣や自治体から連絡がないか
- 土地と建物は誰の名義か
- 相続人、鍵、郵便物、重要書類、家財はどうなっているか
- 方針が決まるまで誰が管理するか
- 売却・買取・解体・維持管理を比較するために何が必要か
相続登記は法律上必要ですが、屋根材の落下、窓の破損、庭木の越境など、周囲へ影響する問題がある場合は、現地の安全確認も並行して進めます。
この記事で分かること
- 実家が空き家になった直後の確認順序
- 建物や敷地で最初に見る場所
- 近隣や自治体から連絡が来たときの確認事項
- 土地・建物の名義と相続人の調べ方
- 家財を処分する前に確保する物
- 当面の管理担当と費用負担の決め方
- 売却・買取・解体・管理を比較する前の準備

空き家相談では、「相続登記と片付けのどちらを先にすればよいか分からない」という悩みが多くありました。最初にすべてを決めるのではなく、安全、名義、書類、管理担当を順番に確認しましょう。
実家が空き家になったら最初に確認する6つのこと
すべての問題を一度に解決する必要はありません。
まず事実を確認し、危険や近隣への影響がある部分を先に対応します。
STEP1 建物と敷地の危険を確認する
最初に、建物と敷地を安全な場所から確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
- 玄関、勝手口、窓が施錠されているか
- 窓ガラスが割れていないか
- 屋根材や外壁材が落ちそうになっていないか
- 雨どいや物置、塀が傾いていないか
- 室内に雨漏りや床の沈みがないか
- 庭木の枝が道路や隣地へ出ていないか
- 雑草が繁茂していないか
- 郵便物やチラシがたまっていないか
- ハチの巣や動物の侵入跡がないか
- 不法投棄や侵入の形跡がないか
建物が傾いている、床が抜けそう、屋根材が落下しそうなどの危険がある場合は、無理に建物へ入らないでください。
道路や隣家へ影響するおそれがある場合は、空き家がある自治体や建築・修繕の専門業者へ相談します。
庭木の枝が隣地や道路へ伸びている、雑草が繁茂している、自治体や近隣から連絡を受けている場合は、初動確認だけで終わらせず、問題になっている場所の対応を進める必要があります。
遠方からの確認方法や草刈り・剪定業者の選び方は、次の記事で整理しています。


遠方の相続人は、実家の状態を数年前のままイメージしていることがあります。売却や解体を考える前に、現在の建物と敷地を写真で確認することが大切です。
STEP2 近隣や自治体から連絡がないか確認する
次に、近隣住民、自治体、町内会、管理会社などから連絡が来ていないか確認します。
確認したい内容は次のとおりです。
- 庭木や雑草について連絡がないか
- 屋根材や外壁材の落下を指摘されていないか
- 雨水や落ち葉が隣地へ入っていないか
- ハチや害獣について苦情がないか
- 不法侵入や不法投棄が起きていないか
- 郵便物や回覧物が預けられていないか
- 自治体から通知や手紙が届いていないか
連絡が来ている場合は、誰が連絡したのか、どの場所が問題なのか、いつまでに回答が必要なのかを確認します。
自治体から連絡が来たからといって、直ちに管理不全空家や特定空家として認定されたとは限りません。
状況確認や改善のお願いの場合もあるため、担当部署、連絡の目的、問題箇所、求められている対応を確認してください。
売却や解体の方針が決まっていなくても、自治体への返信や現地確認は先に進められます。
STEP3 土地・建物の名義と相続人を確認する
親が住んでいた実家でも、土地と建物が親名義とは限りません。
たとえば、次のような状態があります。
- 土地は親名義で、建物は祖父母名義
- 土地と建物の所有者が異なる
- 複数人の共有名義
- 建物が未登記
- 抵当権などが残っている
- 相続登記が何代も行われていない
固定資産税の納税通知書に名前が書かれていても、登記上の所有者と一致するとは限りません。
土地と建物の登記事項証明書をそれぞれ確認し、所有者、共有者、持分、抵当権などを見ます。
名義が分からない場合は、次の記事で登記事項証明書の見方と確認先を整理しています。


親が住んでいた家でも、土地と建物が親名義とは限りません。土地は親名義、建物は祖父母名義、建物だけ未登記という場合もあるため、それぞれ確認します。
親が亡くなっている場合は、遺言書の有無と相続人も確認します。
相続人が複数いる場合は、誰が実家を取得するか、売却するか、管理を続けるかについて話し合いが必要になります。
ただし、最終方針が決まっていなくても、施錠や危険箇所の確認など、当面の管理は先に進められます。
STEP4 鍵・郵便物・重要書類・家財を確認する
家財を処分する前に、鍵、郵便物、重要書類、貴重品を確認します。
最初に確保したい物は次のとおりです。
- 玄関、勝手口、物置などの鍵
- 通帳、印鑑、キャッシュカード
- 不動産の権利証、登記識別情報
- 固定資産税の納税通知書、課税明細書
- 売買契約書、借地契約書、賃貸借契約書
- 保険証券
- 借入れや住宅ローンに関する書類
- 電気、水道、ガス、通信契約の書類
- 遺言書らしきもの
- 貴金属、写真、アルバム、思い出の品
見つけた物は、誰が持ち出し、どこで保管しているかを家族間で共有します。
遺言書らしきものを見つけた場合は、種類によって扱いが異なります。処分や開封を急がず、家庭裁判所、弁護士、司法書士などへ確認してください。
重要書類を確保した後に、家財を次のように分けます。
- 残す物
- 相続人同士で確認する物
- 売却や査定が必要な物
- 処分する物
- 判断を保留する物
片付けの詳しい順番や、遺品整理と不用品回収の違いは、次の記事で整理しています。


家財を先に処分すると、権利証、契約書、固定資産税の書類などを探せなくなることがあります。大量に片付ける前に、重要書類と貴重品を分けてください。
STEP5 当面の管理担当と費用負担を決める
売却、解体、相続の方針が決まるまでの間も、空き家の管理は必要です。
相続人や家族の間で、少なくとも次を決めます。
- 鍵を保管する人
- 現地を確認する人
- 郵便物を確認する人
- 近隣や自治体からの連絡を受ける人
- 草刈りや庭木の対応を手配する人
- 電気、水道などの契約を確認する人
- 固定資産税や管理費を一時的に負担する人
- 家族へ状況を共有する人
最終的な費用分担をすぐに決められなくても、誰が一時的に支払うかは確認しておきましょう。
一人の相続人にすべてを任せる場合も、作業内容と費用を家族間で共有することが大切です。
遠方で定期的に現地へ行けない場合は、親族、地域の事業者、空き家管理サービスなどへ確認を依頼する方法があります。
空き家管理サービスの内容、料金、鍵の管理、契約前の注意点は、次の記事で整理しています。


相続人全員の最終合意を待つ間に、誰も実家を確認していない状態になることがあります。最終方針とは別に、当面の連絡担当と現地確認担当を決めておきましょう。
STEP6 今後の選択肢を比較するための情報をそろえる
現地、名義、相続人、家財、管理費が分かってきたら、今後の方針を比較します。
主な選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 比較前に確認すること |
|---|---|
| 維持管理 | 利用予定、管理担当、年間費用、修繕の必要性 |
| 仲介売却 | 名義、相続登記、家財、建物状態、査定 |
| 買取 | 買取条件、価格、残置物、費用負担 |
| 修繕 | 修繕目的、見積額、今後の利用・売却予定 |
| 解体 | 危険性、解体費用、補助制度、土地需要、税金 |
この段階で、どれか一つを急いで選ぶ必要はありません。
ただし、「家族の結論が出ないから何もしない」という状態は避け、方針が決まるまでの管理方法を決めておきます。
売却・買取・解体・維持管理の判断基準は、次の記事で比較しています。

相続登記だけを先に考えればよいとは限らない
不動産を相続した場合、相続登記は法律上必要です。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
2024年4月1日より前に始まった相続で、相続登記が終わっていない場合も対象になります。
ただし、相続登記だけに集中し、建物の危険や近隣への影響を放置してよいわけではありません。
屋根材が落下しそう、庭木が道路へ出ている、窓が割れているなどの問題がある場合は、安全確保と相続手続きを並行して進めます。
遺産分割がまとまらないなど、期限内に相続登記を進めることが難しい場合に利用できる制度もあります。具体的な期限や手続きは、法務局や司法書士へ確認してください。
相続登記の義務化、必要書類、手続きの流れは、次の記事で整理しています。

遠方ですぐに実家へ行けない場合の確認方法
遠方に住んでいて、すぐ実家へ行けない場合もあります。
その場合は、すべてを自分だけで確認しようとせず、現地に近い人やサービスへ必要な範囲を依頼します。
依頼先の例は次のとおりです。
- 近隣に住む親族
- 信頼できる知人
- 地域の不動産会社
- 空き家管理サービス
- 草刈り・庭木剪定業者
- 修繕業者
- 自治体の空き家担当窓口
写真を依頼する場合は、「家を見てきてほしい」だけでなく、撮影してほしい場所を伝えます。
- 建物の正面、裏側、左右
- 屋根と外壁
- 窓、玄関、勝手口
- 塀、門、物置
- 庭木と雑草
- 道路や隣地との境界付近
- 郵便受け
- 問題を指摘された場所
危険な建物の場合は、室内や屋根へ入るよう依頼せず、道路や敷地外など安全な場所から確認してもらいます。
写真だけで安全性を判断できない場合は、建築・修繕の専門業者へ相談してください。
状況を確認した後の次の行動
初動確認が終わったら、現在の悩みに応じて個別記事へ進みます。
名義や相続手続きを確認したい
土地と建物の名義、相続人、未登記、共有名義などを確認します。
名義関係が複雑な場合は、法務局、司法書士、必要に応じて弁護士へ相談してください。
家財を整理したい
重要書類や貴重品を確保してから、残す物と処分する物を分けます。
片付けの手順や業者の使い分けは、STEP4に設置した関連記事で確認してください。
売却したい
売却を検討する場合の名義、相続登記、査定、仲介・買取、契約までの流れは、次の記事で整理しています。

売却・解体・管理で迷っている
建物の状態、今後の利用予定、年間管理費、修繕費、解体費などを比較します。
判断基準は、STEP6に設置した関連記事で確認してください。
まとめ|最初に結論を出さず、6つの順番で確認する
実家が空き家になったら、すぐに売却、解体、家財の全処分を決める必要はありません。
まず、次の順番で確認します。
- 建物と敷地に危険がないか
- 近隣や自治体から連絡がないか
- 土地と建物の名義、相続人
- 鍵、郵便物、重要書類、家財
- 当面の管理担当と費用負担
- 売却・買取・解体・維持管理を比較するための情報
相続登記は法律上必要ですが、屋根材、庭木、窓などが周囲へ影響している場合は、安全確認と対応も並行して進めます。
家族で最終方針を決められない間も、現地確認、近隣対応、施錠、郵便物、草木の管理を止めないことが大切です。
行政が相続人同士の話し合いや登記、片付け、売却、解体をすべて代行するわけではありません。
空き家の状態と悩みに応じて、自治体、法務局、司法書士、弁護士、不動産会社、片付け業者、管理会社などへ相談先を分けて進めてください。

