親が亡くなり、実家を相続した。
でも、自分は住む予定がない。
思い出はあるけれど、遠方で管理できない。
売るべきか、解体すべきか、とりあえず残すべきか判断できない。
実家の空き家を相続した人の多くが、最初にここで悩みます。
結論から言うと、使わない実家は、早めに「売却」「買取」「解体」「管理」「修繕して保有」のどれに近いのかを整理することが大切です。
何も決めずに放置すると、固定資産税、管理費、草刈り、雨漏り、近隣トラブル、相続人同士の話し合いなど、後から負担が大きくなることがあります。
一方で、すぐに解体すればよい、すぐに売ればよい、と単純に決められるものでもありません。
建物の状態、土地の場所、相続登記、共有名義、固定資産税、片付け費用、解体費用、家族の意向によって、選び方は変わります。
この記事では、実家の空き家を相続したけれど使わない人に向けて、売却、空き家買取、解体、管理、修繕の選び方を整理します。
制度、税金、登記、補助金に関する内容は、自治体・法務局・税務署・司法書士・行政書士・税理士などへの確認が必要です。この記事では、最初に考えるべき全体像として読んでください。
【この記事の結論】
実家の空き家を相続しても使わない場合は、まず次の5つを確認しましょう。
・土地と建物の名義
・相続人の人数と意向
・建物の状態
・今後使う予定があるか
・売却、買取、解体、管理のどれが現実的か
今後使う予定がないなら、売却査定や空き家買取を比較します。
建物の老朽化が進んでいるなら、解体見積もりや自治体の補助金を確認します。
まだ判断できないなら、空き家管理サービスや最低限の修繕で状態を悪化させない方法を考えます。
特に、屋根、外壁、雨どい、窓まわりなど雨水の侵入に関わる部分は、放置すると建物の傷みが進みやすいため注意が必要です。
ただし、修繕すれば必ず高く売れる、解体すれば必ず売れる、買取なら必ず引き取ってもらえる、というわけではありません。
複数の選択肢を比較しながら、自分の状況に合う方法を選びましょう。
実家の空き家を使わない場合、まず考えるべきこと
実家の空き家を相続したとき、最初から「売る」「解体する」と決められる人ばかりではありません。
思い出がある。
兄弟で意見が分かれる。
片付けが終わっていない。
相続登記がまだ終わっていない。
固定資産税や解体費用が不安。
このような理由で、判断が止まってしまうことがあります。
しかし、使わない実家を何年もそのままにしておくと、建物の劣化や近隣トラブルにつながることがあります。
住まないなら「残す理由」と「手放す理由」を分ける
まずは、実家を残す理由と手放す理由を分けて考えましょう。
残す理由には、次のようなものがあります。
・思い出がある
・将来使う可能性がある
・親族が使うかもしれない
・すぐに売るのは気持ちの整理がつかない
・解体費用を出せない
一方で、手放す理由には次のようなものがあります。
・自分は住む予定がない
・遠方で管理できない
・固定資産税や管理費が負担
・建物が古くなっている
・近隣に迷惑をかけたくない
・相続人同士で管理を続けるのが難しい
どちらが正しいという話ではありません。
大切なのは、「何となく残す」「何となく売らない」という状態を続けないことです。
名義・相続人・建物状態を先に確認する
実家の空き家をどうするか考える前に、最低限確認したいのが次の3つです。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 土地と建物の名義 | 売却・解体・相続登記に関係するため |
| 相続人の人数 | 同意や費用負担の話し合いに関係するため |
| 建物の状態 | 管理・修繕・売却・解体の判断に関係するため |
特に、親名義だと思っていた家が祖父母名義のままだったり、建物が未登記だったりすることがあります。
相続登記は、令和6年4月1日から義務化されました。法務局も、遺産分割協議などによって不動産を相続した場合の登記手続について案内しています。相続登記をしないままにすると、売却や名義整理でつまずくことがあります。
相続登記や名義変更の基本は、こちらの記事で詳しく整理しています。

空き家相談の現場で多い悩み
空き家相談の現場では、次のような悩みが多くありました。
・何から始めればよいかわからない
・売るか解体するか決められない
・遠方で管理できない
・相続人が多く、話し合いが進まない
・固定資産税や解体費用が不安
・近所から苦情が来てから慌てている
多くの場合、最初から答えを出す必要はありません。
まずは、名義、相続人、建物状態、費用、今後使う予定を整理するだけでも、次の行動を選びやすくなります。
使わない実家の主な選択肢
使わない実家の主な選択肢は、次の5つです。
| 選択肢 | 向いているケース | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 売却する | 今後使う予定がない、現金化したい | 不動産会社、一括査定 |
| 空き家買取 | 早く手放したい、古い家を現状で相談したい | 空き家買取業者 |
| 解体する | 老朽化が進んでいる、危険性がある | 解体業者、自治体 |
| 管理する | すぐに判断できない、将来使う可能性がある | 空き家管理サービス |
| 修繕して保有する | しばらく持ち続ける、貸す・使う可能性がある | 屋根修理、外壁塗装、雨漏り修理業者 |
この中から、建物の状態や家族の意向に合わせて選んでいきます。
売却と解体のどちらを選ぶか迷っている場合
仲介売却、空き家買取、解体後の土地売却、維持管理にかかる費用を並べて比較すると判断しやすくなります。

売却する
相続した空き家を売却する方針が決まった場合
名義確認、相続登記、家財整理、不動産会社への査定、仲介・買取の比較、契約、税金確認までの流れを順番に確認しましょう。

空き家買取を検討する
早く手放したい場合や、仲介売却で時間がかかりそうな場合は、空き家買取も選択肢になります。
空き家買取では、不動産会社や買取業者が直接買い取るため、仲介売却より早く進む場合があります。
ただし、買取価格は仲介売却より低くなることがあります。
また、「どんな空き家でも買い取る」といった広告を見た場合でも、費用負担や条件をよく確認することが大切です。
空き家買取の仕組みや注意点は、こちらの記事で詳しく整理しています。

解体して土地として考える
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体も選択肢になります。
屋根や外壁が傷んでいる、雨漏りしている、倒壊のおそれがある、近隣に迷惑がかかっている場合は、早めに状態を確認しましょう。
ただし、解体には費用がかかります。
また、建物を解体して更地にすると、土地の固定資産税が変わる可能性があります。
空き家の解体費用や補助金の考え方は、こちらの記事で詳しく整理しています。

しばらく管理する
すぐに売却や解体を決められない場合は、しばらく管理する選択肢もあります。
遠方に住んでいて見に行けない場合は、空き家管理サービスを使う方法があります。
見回り、換気、通水、郵便物確認、草木確認、写真付き報告などを依頼できる場合があります。
空き家管理サービスについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

修繕して持ち続ける
将来使う可能性がある場合や、すぐに売却・解体しない場合は、最低限の修繕も検討します。
特に大切なのは、雨水の侵入を防ぐ部分です。
・屋根
・外壁
・雨どい
・窓まわり
・外部のひび割れ
・雨漏りの有無
雨漏りを放置すると、室内のカビ、床や柱の傷み、シロアリ被害につながることがあります。
ただし、屋根修理や外壁塗装をすれば必ず資産価値が上がる、売却価格が上がる、というわけではありません。
売却予定がある場合は、修繕前に不動産会社へ相談し、現状のまま売るか、最低限直すかを比較しましょう。
売却が向いているケース
使わない実家で、比較的最初に検討しやすいのが売却です。
今後使う予定がない
自分も親族も住む予定がない場合、売却は有力な選択肢です。
持ち続けると、固定資産税、管理費、修繕費、草刈り費用がかかります。
売却できれば、管理負担を減らし、現金化できる可能性があります。
建物付きで売れる可能性がある
古い実家でも、建物付きで売れる場合があります。
たとえば、次のような場合です。
・土地の場所がよい
・建物がまだ使える
・リフォーム前提の買主がいる
・古家付き土地として需要がある
・再建築や駐車場利用など土地に価値がある
反対に、建物の状態が悪い場合は、解体前提や買取の方が進みやすいこともあります。
まずは売却査定を取り、建物付きで売れるのか、解体した方がよいのかを比較しましょう。
先に相続登記や片付けを確認する
売却するには、名義の整理が重要です。
亡くなった親の名義のままだと、そのまま売却できない場合があります。
また、家財が多く残っている場合は、片付けや遺品整理も必要になります。
ただし、空き家買取では、残置物がある状態でも相談できる場合があります。
片付け費用が不安な場合は、売却査定や買取相談とあわせて確認すると判断しやすくなります。
空き家買取が向いているケース
空き家買取は、仲介売却とは違い、買取業者が直接買い取る方法です。
早く手放したい
空き家を早く手放したい場合は、買取が向いていることがあります。
仲介売却では、買主を探す時間がかかります。
一方、買取では条件が合えば、比較的短期間で話が進む場合があります。
ただし、買取価格は仲介売却より低くなる傾向があります。
早さを優先するのか、価格を優先するのかを考えましょう。
古い家・片付いていない家でも相談できる場合がある
古い家、築年数が古い家、家財が残っている家でも、買取相談できる場合があります。
ただし、すべての空き家が買い取られるわけではありません。
立地、建物状態、道路条件、再建築の可否、権利関係などによって判断されます。
「必ず買い取ります」という言葉だけで判断せず、複数の業者に相談しましょう。
査定額だけで判断しない
買取では、査定額だけでなく、最終的に手元に残る金額を確認することが大切です。
次の点を確認しましょう。
・片付け費用は誰が負担するか
・測量費は必要か
・解体費は必要か
・仲介手数料はかかるか
・契約後に追加費用が出ないか
・引き渡し条件はどうなっているか
広告の印象だけで決めず、契約内容を確認してから判断しましょう。
解体を検討した方がよいケース
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体を検討した方がよいことがあります。
老朽化が進んでいる
次のような状態なら、解体や修繕の検討が必要です。
・屋根材がずれている
・外壁が剥がれている
・雨漏りしている
・床が抜けそう
・建物が傾いている
・窓や扉が壊れている
・台風や大雪で部材が飛びそう
建物が危険な状態になると、近隣への影響も出てきます。
近隣トラブルや倒壊リスクがある
空き家を放置すると、倒壊、外壁材の落下、草木の越境、害虫、動物、不法投棄などの問題が起こることがあります。
国土交通省は、空き家が放置されると倒壊など安全面の問題だけでなく、衛生面や防犯面でも周囲に悪影響を及ぼすと説明しています。
管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、住宅用地特例の対象から除外される場合があります。国土交通省資料でも、勧告を受けた管理不全空家等の敷地は住宅用地特例の適用対象から除外されることが示されています。
空き家を放置した場合の流れは、こちらの記事で詳しく整理しています。

解体前に固定資産税と補助金を確認する
解体前には、固定資産税と補助金を確認しましょう。
住宅が建っている土地には、住宅用地特例が適用されている場合があります。
建物を解体すると、土地の固定資産税が変わる可能性があります。
一方で、自治体によっては老朽空き家の解体補助金がある場合もあります。
ただし、補助金は自治体によって条件が異なり、必ず使えるものではありません。
解体契約の前に、自治体の空き家担当窓口や固定資産税担当課に確認しましょう。
固定資産税の考え方は、こちらの記事で詳しく整理しています。

まだ決められない場合は管理を考える
売却も解体もすぐに決められない場合は、管理を考えます。
大切なのは、決められないから何もしない、という状態を避けることです。
遠方なら空き家管理サービスを検討する
遠方に住んでいて、定期的に実家を見に行けない場合は、空き家管理サービスが選択肢になります。
管理サービスでは、外観確認、換気、通水、郵便物確認、草木確認、写真付き報告などを依頼できる場合があります。
地域によっては、シルバー人材センターが外観確認や簡易清掃などに対応している場合もあります。
また、自治体によっては、ふるさと納税の返礼品として空き家の見回りや簡易清掃を用意している場合もあります。
対応内容や料金は地域や団体によって異なるため、確認が必要です。
雨水の侵入を防ぐ部分は早めに確認する
すぐに売却・解体しない場合でも、屋根、外壁、雨どい、窓まわりは早めに確認しましょう。
空き家は人が住んでいないため、雨漏りや破損に気づくのが遅れやすいです。
雨水が入ると、室内の傷みが進み、修繕費が大きくなることがあります。
ただし、修繕すれば必ず高く売れるとは限りません。
持ち続けるための修繕なのか、売却前の最低限の補修なのか、解体前提で修繕しないのかを分けて考えましょう。
管理費が長く続くなら方針を見直す
空き家管理サービスは便利ですが、費用がかかります。
数か月や1年程度なら負担できても、何年も続くと大きな金額になります。
管理費、固定資産税、修繕費、火災保険、草刈り費用を合計し、持ち続ける意味があるか確認しましょう。
将来使う予定がない場合は、管理を続けながら、売却や買取、解体の比較も進めることが大切です。
相続人が複数いる場合の注意点
実家の空き家では、相続人が複数いるケースも多くあります。
その場合、誰か一人の判断だけで進められないことがあります。
共有名義は意思確認に時間がかかることがある
相続人が複数いて共有名義になると、売却、解体、大きな修繕などを決めるときに、他の共有者との話し合いが必要になることがあります。
相続人が多いほど、連絡を取るだけでも時間がかかります。
その間に、建物の劣化や近隣トラブルが進むこともあります。
共有名義の空き家で必要な同意や注意点は、こちらの記事で詳しく整理しています。

誰が費用を負担するか決めておく
空き家を持ち続ける場合、費用負担を決めておく必要があります。
・固定資産税
・草刈り費用
・管理サービス費用
・修繕費
・片付け費用
・解体費用
これらを誰が払うのか決めていないと、近くに住んでいる人や納税通知書を受け取っている人だけが負担し続けることがあります。
相続人同士で、早めに話し合いましょう。
名義整理は専門家に確認する
相続登記をするとき、共有名義にするのか、一人の名義にまとめるのかは重要です。
一人の名義にまとめると、その後の管理、売却、解体を進めやすくなる場合があります。
ただし、他の相続人との合意、代償金、税金、登記費用などが関係します。
「共有名義がよい」「一人の名義が必ずよい」とは一概に言えません。
司法書士や税理士に相談しながら、今後の方針に合う形を考えましょう。
状況別|次に相談する先
使わない実家で迷ったときは、自分の状況に近いところから相談先を選びましょう。
| 状況 | 次にすること | 相談先 |
|---|---|---|
| 今後使う予定がない | 売却できるか確認 | 不動産会社、一括査定 |
| 早く手放したい | 買取条件を確認 | 空き家買取業者 |
| 建物が古く危険 | 解体費用を確認 | 解体業者、自治体 |
| 遠方で見に行けない | 定期管理を検討 | 空き家管理サービス、シルバー人材センター |
| 雨漏りや外壁劣化がある | 修繕見積もりを確認 | 屋根修理、外壁塗装、雨漏り修理業者 |
| 相続登記が未了 | 名義整理を相談 | 司法書士 |
| 税金が不安 | 固定資産税を確認 | 市区町村の税務担当課、税理士 |
| 相続人で揉めている | 方針整理を相談 | 司法書士、弁護士、税理士 |
よくある判断ミス
使わない実家では、次のような判断ミスが起こりやすいです。
「古いから売れない」と決めつける
古い実家でも、土地や立地によっては売却できる場合があります。
建物付きで売る、古家付き土地として売る、買取に出す、解体して土地として売るなど、選択肢は複数あります。
まずは査定や相談をしてから判断しましょう。
「解体すれば必ず売れる」と考える
解体すれば売りやすくなる場合もありますが、必ず売れるわけではありません。
解体費用がかかり、固定資産税が変わる可能性もあります。
売却予定がある場合は、解体前に不動産会社や買取業者に相談しましょう。
「固定資産税が上がるから残す」とだけ考える
解体後に土地の固定資産税が変わる可能性はあります。
しかし、古い空き家を残すことで、管理費、修繕費、近隣トラブル、倒壊リスクが続くこともあります。
固定資産税だけでなく、総合的な負担で考えることが大切です。
「とりあえず共有名義」にする
相続人で話し合うのが面倒だからと、とりあえず共有名義にすると、後から売却や解体で意思確認が必要になり、対応が遅れることがあります。
相続登記の段階で、誰が管理するのか、将来どうするのかを話し合っておきましょう。
「管理しているから大丈夫」と思い込む
空き家管理サービスを使っていても、建物の老朽化が止まるわけではありません。
雨漏り、屋根破損、外壁劣化がある場合は、修繕、売却、解体を含めて見直す必要があります。
まとめ|使わない実家は「方針を決める準備」から始める
実家の空き家を相続したけれど使わない場合は、早めに選択肢を整理することが大切です。
主な選択肢は、売却、空き家買取、解体、管理、修繕して保有の5つです。
今後使う予定がないなら、売却査定や空き家買取を比較しましょう。
建物の老朽化が進んでいるなら、解体見積もりや自治体の補助金を確認しましょう。
まだ判断できない場合は、空き家管理サービスや最低限の修繕で、状態を悪化させない方法を考えましょう。
また、相続登記、共有名義、固定資産税、片付け、修繕費用もあわせて確認する必要があります。
空き家相談の現場では、早めに状況を整理しておくことで、売却・解体・管理・片付けの選択肢を比較しやすくなるケースが多くありました。
まずは今の状態を確認し、必要に応じて複数の相談先に確認することが大切です。
実家の空き家を使わないときは
まず、土地と建物の名義、相続人、建物状態、固定資産税、今後使う予定を整理しましょう。
今後使う予定がない場合は、空き家売却査定や不動産一括査定で、売れる可能性を確認します。
早く手放したい場合は、空き家買取も比較しましょう。
老朽化が進んでいる場合は、解体見積もりと自治体の補助金を確認しましょう。
まだ判断できない場合は、空き家管理サービスを使いながら、屋根・外壁・雨どい・雨漏りなど最低限の状態確認を進めましょう。
相続登記や共有名義で迷う場合は、司法書士や税理士などに相談してから進めると安心です。

